Worksthop in ZEGG
Sorry, I write this article only in Japanese…
If I can, I translate it someday.
だいぶ時間が経ってしまいました… ZEGGでやったコンサートの録音CD制作やら、友人の結婚式用曲の制作やら、なんだかんだで余裕がなくなっておりました。久々に落ち着いてきたので、続きを書きます。ただ日本語のみですが。
ZEGGでのフェスティバル中、様々なワークショップも開かれていました。ダンス系、芝居系、音楽系、映像制作ものなど各種ありまして、指導にあたる人も世界各地からやってきておりました。パントマイムのコロンビア人は、なかなか面白い人だった。見た目は単純に面白いのに、中にどんな深い世界があるのか見えなくて、どこか不思議な空気感のあるひとでした。
さて私が参加していたワークショップは、”Passion for Klezmer Music”というタイトル。Klezmerっていうのは、ユダヤの音楽形式のひとつらしいんですが、プロのクラリネット吹きのヘルムート氏 / Helmut Eisel が中心になり、音楽の空気感を掴むワークショップになりました。
ワークショップ中では、まず音楽の中にある「対話」を体感していきました。音楽には(メロディーの中にも)対話というか呼応というべきものが潜んでいます。実際に自分でも作曲するので、このヘンはよく分かるのですが、このワークショップは驚いた。
はじめは全員声で即興フレーズを編み出していく。「即興なんて一度もしたことない」っていう人が多数いたワークショップなのに、人から人へフレーズがどんどんつながっていく。もちろん全て即興。部屋の空気感が、「即興」というものに対する距離を縮めていました。
楽器を持っている人は、徐々に声→楽器へと意識を移していく。自分のイメージと実際の音をつなげていく練習をしながら、楽器と楽器での対話をやっていきました。
続いて「音階」「リズム」のイメージを体の中に染み込ませていき、たとえばユダヤの音階がどのような響きなのかを、感覚だけで捉えられるようにする。そうすると、それに乗って案外自由にフレーズを紡ぎだせるようになるもんです。
何が驚いたかって、即興のド素人ばかりなのに、みんなあっと言う間にコツを掴んでしまったところ。指導をしていたヘルムート氏の裁量に、びびってました。私も以前、何人かに「簡単だから」と教えたことがあるんですが、こうも滑らかには伝えられませんでした。
※ちなみに今回使った音階は、Dを基音に
D E♭ F♯ G A B♭ C D
でした。
ワークショップは、とてもいい雰囲気で4日間続いていきました。随分と音楽の本質に迫るものだったのだけれど、それをストレス感なくやっていたあたり、何だか興味深いです。私が小・中学校で受けてきた音楽教育なんて、印象としてストレスばっかりでしたから。一気に本質に迫れる授業って、なかなか無い気がします。(写真はワークショップ参加メンバー。中央の2人並んでるうち上の人がヘルムート氏)
さてそのワークショップから派生したものがあります。指導をしていたヘルムート氏が、前々からよく組んでいた2人を加え、フェスティバルの期間中にコンサートを開く予定がありました。
ところがワークショップで私を見つけ気に入ってくれて、急遽ながらピアニストとして参加することが決定。「明日の夜なんだけど、いい?」と言われ、彼の才能に惹かれていたこともあり、もちろん快諾。即興コンサートだから、ほぼぶっつけ本番でやりました。
最終的には更にもう一人、うちJugendseminarのスタッフ一人もドラムで参加し、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、電子ピアノ、ジャンベの5人でのコンサートになりました。
コンサート会場はZEGG内の”KunstCafe/アートカフェ”という場所。コの字の壁に屋根だけ付いてる半屋外型の会場で、当日はしとしと雨でした。
…が、会場は大盛り上がり。即興音楽っていうと、何だかよく分からん、というイメージもあるかと思いますが、会場からは大歓声まで上がる始末。1時間に及ぶ即興コンサートは、客側も演奏側も大満足で終わりました。
おまけですが、コンサート本番中に決まって私の曲も演奏しました。本来はピアノ+ヴィオラの”ein Gedicht des Regens”ですが、今回はピアノ+クラリネット即興ヴァージョン。本番前に遊び程度でちょろっとだけ合わせてはいましたが、やる予定は無かったので、ほぼぶっつけ本番。ところがこれがまた良い仕上がりになりました。ヘルムート氏はさすが、転調にもあっと言う間に付いてくるし、曲の流れを掴むのが本当に早いし上手い。クラリネットという楽器をまさに自分の手足のように「使いこなしている」ようで、さすがプロやなぁと思ったのでした。
久々に本当に音楽をやれた気がして、とても幸せなコンサートでした。
→期間限定で”ein Gedicht des Regens”の録音を公開しています。HPのトップページからアクセスできますので、聞い方はぜひ感想なんぞも書いていってもらえると、作者はとても喜びます。