Freiburgより / photo

 一週間が過ぎました。出国までは、もう残す所わずか。短いですが、まぁ来られてよかったな、と。旅というのは、あくまで自分の場合は、ですが、現在の日常とは違う別の可能性を探すために、別の可能性があることを確認するためにしているのかな、と今回思いました。どこかで納得していないことの裏返し、といいましょうか。
 久し振りに文章化したくなったので、これについては別の機会で改めて書こうかと思います。

 さて、ここまでをちょいと振り返り。今回は久々に長くなります。

 出発前にわずかな時間ながら萌&玉両氏と話をしてたら「飛行機では映画を観るもんだ」というのを盛んに言ってたので、行きの機内でやっていたスタートレックを観てみました。中華航空だったので英語音声・中国語字幕なのですが、件の船・エンタープライズが「企業号」となっておりまして、あぁ確かにそうだよねぇと、クスりと笑いながら観ておりました。人物名も全て漢字表記になるということに、改めて驚き。
 演出はともかく、話題だった割には内容自体はそんなに深くないのですね。

 Frankfurt/Mには早朝着だったので、そのままKöln(ケルン)へ。何はなくとも、川を挟んだ大聖堂の対岸に腰掛けてのんびりするのが心地いい。

 広角レンズというものを知らない頃には、どうしたらこの巨体を写真に収められるのかと思ってましたが、たかだか20mmであっさり撮れてしまって少し拍子抜け。ただし初っ端からこのレンズが不調になってしまいましたが。(帰国し次第オーバーホール決定。)

 Hannover(ハノーバー)で友人を訪ね、出演(演奏)するという野外劇に紛れ込み。どこだかの牧場の豚の話で、芝居を見ながらビアガーデンも楽しめるようになっていて、そこで売ってた豚肉のステーキがとても美味でした。結構手頃な価格だったし。
 知り合いは音楽での参加だったので、そちらでは色々不服そうでしたが、演出のせいもありそれなりに楽しめる芝居ではありました。17,-Euroの入場料は、ちょっと高い気もしますけど。(有料の芝居なので写真はナシ)

 翌日は川岸での日没/夜景を見るためだけにDresden(ドレスデン)を経由。 早めについたのでぶらぶらしつつ、大道芸人が意外にもハイテク楽器で一人楽団やってるのに驚きつつ、さらに以前仙台でGermanFestなるものがあったときに異常なぼったくり価格で売られてて諦めたお気に入りのビールを通常価格で飲んだりしつつ、ようやく迎えた日没。
 予想より日没時刻が遅く、また夜行列車の出発時刻が去年より一時間以上早く、常に時計を確認しながら撮影。三脚立てて撮ってる人が他にもいたので、やはりここは知られた撮影スポットなんでしょうね。

 急ぎ足で夜行列車に乗り込み、Freiburg(フライブルク)へ。去年を参考にLiegewagen(日本で言うB寝台)を使いました。プラス30,-Euroはちと高いが、翌朝まで走行中のほとんどの時間を熟睡できたので、結構価値はあるかと。

 で、たどり着いた古巣Freiburg。一週間しかいられなくともRegioKarteは購入して、目的地はあるのか無いのか周辺各地を渡り歩いてました。ちょうど家探しに来ていた友人とも連絡をとりつつ何度か会ったり。
 ついでに湖で泳いだり、市場で果物とパンを買って朝食にしたり、畑の中を彷徨ったり、やろうと思ってたことは、多少の物足りなさはあるものの、それなりに出来ました。


 ドイツに着いたばかりはまだ少し咳も残ってたんですけど(事情を知らない人も多いですよね。喘息(ぜんそく)持ちでは無いはずなんですが、ここ2、3ヶ月ほど咳がひどかったんです。仙台でも町中や大通りに出ると、東京でも駅に降り立ったとたん、咳が止まらないという…)おかげさまでFreiburgに着いて丸1日もしたらすっかり消えてしまいました。やっぱり空気は大事です。あとは左目の不調がもう少し良くなれば、言うこと無しなんですが。(^^;)

 それと列車で山の上まで(Freiburg Hbf -> Seebrugg -> Freiburg Hbf)3時間ほどかけてただ往復してくるのも、あれこれ物事を考えるのに最適だったりして、メモ帳やノートPCを持ち込めば移動オフィスみたいになって、RegioKarte様々な一週間でした。


 Schloßberg、Breisach、Waldkirchなど各所にあるお気に入りの場所に腰掛けて、ただ呆然と景色を眺めてもいましたが、仙台でこういう場所が見つからないのが残念です。山寺(山形県)は気に入ってるのですが、行くのに片道1時間かかり、毎回なんだかんだで2千円近く払わねばならないので。

 Freiburgに着いてから、色々写真は撮ってみたんですけど、だんだん写真を撮る事自体が馬鹿馬鹿しく思えてきたりもしています。目を向けた対象との間に、カメラなんて境界物を置いてしまうことが、時折勿体なく思えたのですね。

 もうひとつ気付いたこと。Hannoverの芝居以来ずっと音楽を全く聴いていません。iPodは持っているし飛行機内では活躍していたのですが、今や音楽を聴きたい欲求が消え去ってしまいました。
 これは個人的にはすごく良い傾向だと思っていて、どういうことかというと、ひとつには自分を隔離したくなるような不快な音(世界?)が周りに無くて心地よい雑音が続いているということ、2つ目には外界に対して多少なりともオープンになっていること、3つ目にはもしこのまま調子良く行けば他人の音には依らず自分の音が蘇ってくる可能性があるということ。

 今の感覚を日本に持って返ることはできないだろうし、そもそも今は旅人だからある種の現実離れした夢の中のような感覚もあるのかもしれないけれど、だとしても、じゃぁこれから目を覚ます現実世界はどうであるのか、何であるのか、やっぱりもっと意識的に生きるなりしなきゃと、何度も思い直した事を再び思い出しつつあります。

 ひょっとしたら、むしろいままで2年間、ずっとある種の眠りの中にいたのかもしれませんね。もうそろそろ目を醒ましたい。REM睡眠から抜け出せるまで、きっと、あとちょっと。

ドイツ

Posted by Hikologue