ぶらり旅・佐渡編 / photo

 高崎を後にし、上越線をひた走る。途中の水上(みなかみ)あたりから雪は積もっていたのですが、かの「トンネルを抜けると、そこは…」の場所かと思われる長大トンネルを抜けると、えぇ、豪雪でした。電車がまともに動いてるんですから、まだまだなんでしょうけど、列車の窓の高さまで積もってるのを見るとさすがに驚きます。

 途中駅にて。隣がスキー場か何かというのもあるけれど、やはり雪が降ると夜でも明るい。いやー、冬らしくなってきました。

 乗り継ぎには驚くほど問題が無く、新潟到着は23時半。途中ほど雪は無いものの、ツルっツルの路面に苦労しながら宿に行き、翌日まで熟睡…

 早起きして目指すは渡船場。いよいよ佐渡へと出発。 どうしても日帰りしなきゃいけないので、片道だけ贅沢にジェットフォイル(水中翼船)を利用。一時間ちょっとで佐渡の両津港に着きました。
 船酔い予防のために寝てしまったので、テイクオフ以後の記憶は無い。※奥に見えるのはカーフェリー。手前のは… 何なんだろコレ。

 せっかくだから上陸してから朝食を取ろうと思っていたので、まずは両津近辺をふらついてみました。
 凍えるような寒さを想定していたんですが、拍子抜けするくらい寒くない。(たしかに私の身体は寒冷地仕様になっちゃってますが、それにしても。) 雪も積もっているけれど、今にも融けていきそうなぐらいです。

 そして食事が出来る所が、とことん見つからない。道路標識に「両津市街」とあるのはどこかと歩き回ったのですが、どうも商店街の通り2、3本くらいのもんのようで、かつ料理屋は飲み屋くらいしか見つからず、悔しいが断念。写真にも写ってる湖は牡蠣が名産らしいけど、やっぱり店は見つからない。
 仕方なく港に戻り、立ち食いみたいな蕎麦屋でラーメンをすすりました。残念無念。

※ある種の大売り出しですね

 なんの下調べもせずに来てしまったので、とりあえず地図とバス路線図を手に入れて、バスに乗り込み一時間、終点まで行きました。着いたのは島の反対側、相川という所。

 地元の人をたまに見かける以外は正直なにも無い感じで、海岸の防波堤の上を歩きつつ、時折波しぶきをあびつつ歩いていく。正月明け早々というのもあるんでしょうけど、活気という言葉とはほど遠い雰囲気でした。

 しばらく歩くと、ふと何やらありそうな看板を見つけ、内陸へ向かって坂を上っていくと、思いもよらぬ光景が広がりました。
 佐渡・相川はその昔、金・銀の鉱山で栄えていたそうで、ここはその鉱石処理場跡。こういう建造物の存在感って、最近のものではあまりないですよね。せいぜい化学プラントがいいところでしょうか。

 で、他に何も見当たらないので近付いてみると、技能伝承展示館なるものが隣にありまして、ちょっとした体験もできるようになってました。時間の都合で、暇つぶしに近所をぶらりとしつつ、昼ご飯でも食べようかと画策。

 …しかし、やはり食事ができる所は見当たらない。正月明けだから、とかじゃなくて、店が無い(唯一遠くの方にコンビニが一軒)。昼食は断念しました。こんなにもヒモジイ感じになるのは日本では久し振りですが、ま、たまにはいいでしょう。

 下調べをしていなかったせいもあるんでしょうけど、どこに行ってもどうにもならない雰囲気が漂っていましたが、ここから手工芸体験で挽回です。

 やらせてもらったのは裂織(さきおり)という機織りで、古くなった衣服などを裂いたものを横糸として使うもの。かなり原始的な織物です。
 機織りというものが全くの初めてでしたが、2時間くらいで80cmほどのマットが織れました。良いですね、こうして黙々と手作業をするのも。

 この裂織なんですが、一目見た時から家にある絨毯を思い出していました。家に帰って見比べてみると、やはりそっくり。 上の小さいのが今回作ったもの。下の大きい方が我が家の絨毯で、以前ルーマニアの片田舎で購入したものです。伝承展示館にあったサンプルと比べてもルーマニアの絨毯の方が柄に凝ったりしていますが、基本的な構造は全く一緒です。遥か遠く、佐渡とルーマニアで、同じような事を古くからやって来てたんだなぁと思うと、なんだか不思議な気分です。(ん? てことは裂織って特に「佐渡の」伝統工芸ってわけでも無いのかな??)

 夕方になり、バスセンターのある佐和田という所に立ち寄って、海岸で夕陽でも眺めようか
と思いましたが、空が曇って来たために断念。じゃぁ夕飯でもと思うも、とんかつ屋一軒しか見つからず断念(一軒あったんだから喜ぶべきなのか)。どうにもこうにも、佐渡で佐渡ならではの物が食べられるような外食屋を探すのは難しいようです。事前に調べておけって事かも知れませんね。
 ダメダメな感じもしますけど、ぶらりと立ち寄って、こうのんびり過ごすのも悪くないなと、両津港に戻りました。

 帰りは最終のフェリー。2時間半かかりますが、やっぱり船酔い防止のために寝てたので、特に苦でもありません。意外とラクなもんです。新潟に戻り、さっさと就寝。

 翌日は朝から強風で、仙台までの列車移動も結構予定が狂いました。途中何度も運転停止になったり、乗り継ぎがズレたり… 一日違ったら佐渡なんて行ってる場合じゃなかったと思うと、思い付きでこの日に行けたのは幸運だったんですかね。
 もしもう一度佐渡に渡れる時があれば、今度は色々下調べしてから行きます。何が何処にあるとか、イベントとか。

 さて、近所というには遠いけれど、何気ない散歩気分でこういう所まで足を伸ばすのは、やっぱり良いもんです。また機会を見つけて何処かに行ってみましょう。

 とりあえず、18きっぷの残り2日分をどこかで消費しよう。

日本

Posted by Hikologue