Exkursion II
研修報告第二回は、調査見学として訪れた各地の遺産から、特に印象的だった場所、Château de Quéribusを紹介しましょう。
シャトー/Châteauとは城のことだ、とフランスからの留学生が教えてくれました。Château de Quéribusという古城は、はるか高い山の上にそびえています。車でだいぶ登ったにもかかわらず、そこからの登山道(というか斜面登り)も意外と長かった。軍事的な目的から全方位が見渡せる高山に建造されたというが、ここをかつては重装備の兵隊が登ったかと思うと、それはそれは重労働だったろうと思うのである。
城に着いてからも斜面は続き、内部を歩き回るだけで息が上がる… しかしはるかふもとに町が見えるというのは、なかなかの光景ではある。(ただ正直なところ、色んな場所を訪ねるうちに、もう世の中なんでもあるよなって気になってきて、これくらいでは驚かなくなっているのですが。)
この場所での研修課題は、カタラの思想を探ること。前知識として与えられていたのは「カタラでは二元論が基礎だった」というもの。世界は善と悪、神的なものと魔的なものとの中間である、という考え方。その上で、なぜかのような場所に城を築いたのか、というのを考えろ(あるいは、何か神秘的な空気感をこの場所から感じてみよ)、というものでした。
解答例として「神に最も近い場所だから」というものがあった。たしかに城内には教会も存在していて、聖地的な意味合いはあったと伺える。しかし自分の直感からすると、その城に立ったときの神秘的な空気というものは、あまりなかったように思う。単に軍事目的が強かったのではないか、と考えられた。
ところが見学を終えて山を下り、ふと車の中から山を見上げた時、その時に「神秘的な」何かを感じた。もし仮に、本当に聖地的な意味合いがあるのだとすれば、それは城に訪れる人に対してではなく、むしろふもとに住むカタラの住民たちに向けてのものだったのではないだろうか。