Die RegioKarte

 今回から連続で、フライブルクの市民の足、交通機関についてのレポートをまとめようと思います。記念すべき第1回は、その足を多用する人の味方、RegioKarteです。

 RegioKarteは、フライブルクを中心にした近郊区間の鉄道・バス乗り放題の切符です。この切符1枚で、フライブルク地域のRVF(Regio-Vehrkehrsverbund Freiburg)ネットワーク

DB : Deutsche Bahn(日本で言うJR/優等列車除く)
VAG : Freiburger Verkehrs AG(市内の路面電車&短距離バス)
BSB : Breisgau Stadtbahn(地方鉄道)
SWEG : Suedwestdeutsche Verkehrs AG(地方鉄道&バス)
SBG : Sued Baden Bus GmbH(中・長距離バス)
:: AG = Aktiengesellschaft(株式会社)
:: GmbH = Gesellschaft mit beschrnkter Haftung(有限責任会社)

など複数の会社の交通機関を、一切の垣根なしに乗り回せます。ヨーロッパの駅には改札口がないので、ふーっとやってきた列車やバスに、ひょーっと思いつきで乗り込んで、びゃーっと走り回ることができるのです。おっと言葉が違いました。買い物を済ませた時に、ふと目の前にやってきた路面電車に乗り込んで家に帰れるのです。バスで行こうと思ってたけどDBの方が早く来たら、それに乗っていって構わないのです。Regioの範囲内での移動をするなら、絶対に持っていることをお勧めする切符ですね。

 乗り放題の範囲は広く、南はスイス、西はフランスとのそれぞれ国境の町まで、東は森の奥の奥まで行けます。範囲の端から端まで、東西南北それぞれ鉄道で2時間くらいの距離でしょうか。この広い範囲をカバーする切符なのですが、その値段はというと

・24時間券:4,80euro (Regio24 1人用)
・24時間券:7,20euro (Regio24 5人用)
・1ヶ月券:41,50euro (= 約5,800円 :: 1,00 euro = 140円換算)
・1年券:415,00euro

となっています。ちなみに路面電車・バスなどの1回券は 2,00euroです。1ヶ月/1年券には、日曜・祝日に限り大人もう1人&子供3人まで一緒に乗れるというおまけつき。さらに学割やら25歳以下割引やら、さまざまな価格設定があります。

 はっきり言って安いです。範囲が広いということ、交通会社の壁を超えて使えること、交通網自体が発達していることを考えると、何故?というくらいに安いと思います。日本の価値観で考えると「ありえねー」と言いたくなります。
 安く乗れるからって、交通機関の車体が古いのかというと、そんなことは全くないのです。各交通機関とも、車体も車内も新しく、またきちんと整備されている。バス・路面電車は、ほぼ全て(お年寄り・車椅子に優しい)低床車。2両連結のバスなんぞも頻繁に走っています。ほんとありえねー。

 おそらく(というより間違いなく)多額の税金が投入されているんです。実際どれ程の額の税金が投入されているのかは未調査ですが(これについては友人の都市政策専攻・緑茶評論家とおいおい詳しく探りたい)非常に興味を惹かれます。複数の会社に対してどのように分配しているのかなども、気になるところです。

 さて多額の税金を投入している、ということは、「多額の税金を投入してでも、車社会より公共交通機関の発達を優先させよう」と行政も市民も考えている、という意味になります。ただ行政だけが突っ走っても、市民に倒されているはずです。双方が双方とも願っているからこそ、この状況があるのです。フライブルクはドイツの中でもトラムを中心にした交通機関が非常に優れた町だそうです。市民と行政が力をあわせ、長い年月をかけて試行錯誤を繰り返し、熟成させてきた交通システムが、いまこうして、さりげなく活躍しているのですね。

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おまけ。

このページの下の方で市民の皆さんがレギオカルテを持って遊んでる写真が公開されてます。
http://www.rvf.de/Service/160Frset.html