本番終了。

 今週は本番が2つでした。って言っても、ひとつは福岡だったので、私はこっちで心配していただけなんですが・・・ 無事に一段落したようで、なによりです。スタッフの皆様、お疲れ様でした。

 もうひとつの本番、ゲーテのコンサートも終わり、今は録音の編集をしているところです。あぁ、ノイズが!ノイズがぁぁ…!! 電源系統から侵入するノイズなんて消せるかボケぇ!!

 えー、はい。陰の嘆きはこれくらいとして、今回なんだか思うことが多かったので、つらつら書いてしまいます。読んでて楽しくないと思いますが、今回は勘弁。

■その壱
 編集する都合、録音を全曲通して聴き直したのですが、これはちょっと Langweilig だったんじゃないかなぁ、と心配になりました。あ、Langweilig って、えーっと、退屈、ですね。少し日本語を忘れました(実話)。
 そりゃもちろんすんげー良い演奏もあったんですよ。初っ端のアコーディオン(バンドネオン?)の演奏なんて、そりゃ会場も沸くよなって名演でしたよ。台湾の女の子の歌も、声が綺麗だし、親しみやすくやっていて良かった。けどねけどね、問題は何かっていうと、ピアノ連中(をを?これは自分も含めてか??)がイマイチ。いや、全体的にイマイチでした。

 これは僕の好みの問題だけなのかもしれないけれど(それならいいけど)、クラシックのダメな部分がもろに出ていた気がするのです。つまんねーよ、そんな曲!ってのが目立ってました。(クラシックにも良い曲があるのは知ってますよ、勿論。)
 いつぞやの大学の授業で私が弾かされた曲「アラベスク(どびゅっしー)」も登場したんですが、音は綺麗だけど、綺麗なだけだよね、ってふと思いました。曲だけで聴くには無駄に長くてつまんないなって。
 現代曲と呼ばれるものも、予備知識がないと聴きづらい。「お前あたらしい音みつけたつもりだろうけど、それ聴く側にはおもしろくないぜ」って。
 うちの相方が弾いた別の2曲のうちのひとつも(彼が試験で弾かなならん曲やけん仕方ないが)発表会とかで「おじょーずにひけましたねー」みたいな中身のない曲にしか聴こえんかった。
 とあるピアニストの友人が作ったという曲も、ダメじゃないけど、なんかセンスがいまいち。

 お客さんが優しくなかったら、失敗だったんじゃねーの?と思うのでした。編集も、正直ちょっとかったるいです。
 これを自分にも言い聞かせて、次回があれば、しっかり作ります。

■その弐
 コンサートのプロデューサー、なんでこの人なの?って事。毎回とも同じ先生がやってるんですが、どうにも仕事が悪い。学生の話によると一度授業を休んで準備に取り組んでたらしいのですが、どう考えてもそんなに仕事はないはず。当然、創作的な仕事はあるわけないし。要領悪すぎるだけなんじゃねーの?って。客に配るプログラムには毎回「必ず」何かしらの誤植があるし。
 しかもあんた、司会やるんなら出演者全員の名前くらい覚えなさいよ、と言いたい。そりゃ外国(ドイツ以外の国)の名前は難しいでしょうが、それは最低限のところでしょ? カンペ見ても間違えるって、そりゃありえないよ。

■その参
 コンサートを開催した学校側&出演者のこと。コンサートが終わり客が帰った後はお片付け。これ、当然ですよね? なんでみんな何もしないで帰るのさ? 何?Zivi ひとりにやらせる気?

※Zivi:徴兵制度のひとつで、兵役に行く代わりに奉仕活動に参加する人のこと。Goethe-Institut Freiburg では2人の Zivi が働いています。あれ2人? えぇ、1人は不真面目君なのか、あまり見かけませんねぇ。

 あほらしくてあきれながら、Zivi のクリストフと、ごくごく僅かな人数で片付けました。椅子の撤去、テーブルの並べ直し。肉体労働ですよ。Tシャツ一枚なのに汗かきましたよ。ある先生が私に向かって”Du bist sehr nett!(あなた親切ね)”と言ってましたが、いやいやちょっとまて当然だろうよ。これ一人でやるのしんどいよ? 肉体的にも。何より精神的に。むしろ何であなた達はやらないの?と内心思いました。

 終わってやれやれと思い控え室に入って、あほかと思いました。私は録音のためずっと客席後ろにいたんですが、この控え室がガンツ汚い。クリストフが愚痴をこぼしてました。
 「みんな毎回演奏していくけど、僕はいっつも掃除ばかりだよ・・・」

 おめーら自分で飲み食いしたもんくらい自分で片付けろや、おらぁ!と思いました。もし将来に音楽を仕事にするようなことがあっても、こういうところにも気が付く人間でありたいと思います。
(11月のコンサートでは、ある出演者の一人が(私よりも)自ら進んで会場片付けをやってました。そんな人も中にはいます。この人は偉い!と思って後で話して驚き。その人の親父さん、音響設計学科の一期生なんだと。)

 さて、帰り際にクリストフと交わした会話。

ひ: ”Du hast gut gearbeitet! (お前よく働いたよ~!)”
ク: ”Danke. Du auch! (ありがと。君もね!)”

 こういうもんじゃないですか?一緒にがんばって、最後にねぎらいの言葉を掛け合うっていう。学校職員も出演者も、やらせっぱなし・やりっぱなしになってはおりませんかい? 「準備から片付けまでがイベントだ」というのは、常識ではないんでしょうか?

 この日は友人に和食な手作り夕飯を食わせてもらったおかげで、だいぶほっとしましたが(Danke, Akashi!)、どうも後味のすっきりしないコンサートになりました。


P.S.

 話は変わりますが、とある出演者の一人から聞かれました(日本語)。

 「ドラマとかそういうのの音楽作れそうですよね。やっぱりこの先そういうのを仕事にしたいとか思ってるんですか?」

 何気ない質問に、何気なくさらっと答えてしまいました。

 「この先もうちょっと自分が成長したら、やりたいなーと思ってます。」

 自分でも意外な事を言ってしまいました。大学にいる頃から、私は作曲を仕事にするという選択肢を避けていたんです。音楽しかわかってない音楽家には絶対なりたくない、というのが理由でした。自分にはもっと知るべきこと・やるべきことがある、と思っていました。音大ではなく芸術工学の大学に入ったのも、社会的な活動に身を投じたのも、そういう理由からでした。
 そんな自分の何気ない思いもよらぬ発言でしたが、やはりこれが本心なのかな、と思います。やはり僕は、作曲という仕事をしたいと心の底で思っている。

 こんな発言が飛び出したということは、自分の意識の奥深くで「時は満ちつつある」という直感が働いているのかもしれません。  「もうすぐ、作曲に身を投じても音楽以外の重要な視点を持ちつづけられる時期が来る。」  そう体が判断し始めているのかもしれません。

 なんにせよ、ドイツに来たことが自分にもたらした影響は測り知れないな。

<お知らせ>
 ここまで読んでくださった稀有な方に送る、耳寄りな速報です。

 近々記事でも紹介しますが、現在、私の音楽・写真作品の公開ページを制作しています。「お!?」 そう音楽もです。すでに試験運用の段階まで仕上がりました。過去の作品やドイツで録音した曲に紹介を添え、ダウンロードできるようにしてあります。これからはpassfinderとともに2本立てでいくので、よろしくお願いします。
->http://werkstatt.exblog.jp/