Bogenbau / Bow Making / 弓作り

I have made a bow. It has taken about 7 months… Of course I didn’t work without break, but maybe I have worked over 40 hours to make it. Almost all I have worked only with pull-knife (with blue handle / see photo). As the knife cuts well, the surface would be like a mirror. Very beautiful. I love this bow.

 約7ヶ月かかった弓作りが、ようやく終了しました。もちろん休みなくやってたわけではないのですが、計40時間以上はかかってるはずです。もっとかかってるかもしれません。弦をはずした長さは自分の身長と同じで、いまの調整では55cmほど弦を引いたとき約20kgの力がかかる状態です。

 思えば最初はただの太い木の棒でした。そして最初っから手間のかかる仕事でした。まずナイフで年輪の層に沿って表面を削り、同じ一枚の堅い層が表面に出るようにしました。表面が同じ層でないと、曲げた時に割れやすいから、というのがその理由。
 年輪は分かりますよね? その年輪の層にナイフを沿わせていくわけです。ふつう見る年輪はただの輪ですが、こうして立体的に捉えるのは新鮮でした。木の内部にある層の流れを感じながらナイフを運ぶという、なんとも新鮮な体験でした。

 続いて、ある程度まで機械で弓の形を切り出した後、ひたすらナイフを走らせ、完成形を削りだしていきます。もう、ほんとに「ひたすら」でした。削るには果てしなく時間がかかるし、でも急いでえぐり過ぎるとダメになってしまうし、という過酷な作業。もう腹をくくって、出来るだけ美しい仕上がりになる事だけを目指し、ゆっくりじっくり根気強く仕事することにしました。(右上の写真が使った引き形ナイフ)

 最終段階が近付くと、実際に弦を張ってみて弓の曲がり具合や張力を見ながらの非常に細かい仕事になっていきます。その繊細さたるや、0.1mm削るか否かで曲がり方に違いが出るほどです。何度も弓に指を這わせ、指先の感覚で厚みや凹凸を測りながら、細かくナイフを走らせました。時に激しく、時に細やかに… まさにそんな感じでしたね。

 もの凄く時間がかかりました。周りではもっと速く完成させている人もいたんですが、一人ひたすら美しい仕上がりを目指して粘った結果、裏側のえぐった方の表面は、なんと鏡のように光沢が出るほどに仕上がりました。ナイフ仕事の方がヤスリより美しく仕上がることを知った瞬間でした。年輪の層に合わせた方の表面も、肌触りが最高に良い。完成した弓の曲線も、とても良い。弓作りを担当してたスタッフからも、だいぶ良い評価を頂きました。そして何より、自分でかなり気に入りました。なにせ愛情を注ぎ込んでますから。

 これほど長い時間をかけて木という材質と向かい合うことは、今までありませんでした。寸法どおりに裁断してひょいひょいひょいっ、というのとは次元の違うモノ作りをやった気がします。いま出来上がった形は、この目の前にある材木の、世界で唯一まさにこの部分の素材と、他でもない自分との関係ゆえに出来上がったものなんですよね。そう思うと、なんだか感慨深いです。