VauBahn kommt!

 前回の記事でちょこっとだけ触れましたが、去る4/29、フライブルクのトラム・ネットワークに新しい路線が加わり、運行路線図の大幅な変更が行われました。まずは旧・新のトラム路線図をご覧ください。(中心駅、接続駅のみ書いています。また起終点は駅名ではなく列車の行き先表示に出る名前にしてます。)

-以前の路線図-

-新しい路線図-

 1号線以外は全て変更があるので、昔のに慣れ親しんじゃった人はご注意ください。また Günterstal (&Schauinsland) / Zähringen 方面に行く場合、以前と違って新2号線は Hbf は通らないので、Bertoldsbrunnen での乗り換えになります。

 そんなこんなで新路線開通の29日は、普段なら静かな Vauban 地区が盛り上がってました。記念イベントで露店が出てたり、ミニ・ステージまで登場してました。

 あそこらへんに行ったことある人なら分かると思いますが、お祭り騒ぎには程遠そうな場所なんですよね。これを機に町が活気付いてきたらいいですね。
 運営会社のVAGも調子に乗って、一部列車は旗付けて走ってました。更には古いトラムを引っ張り出してきてイベント列車として走らせてました。さらに当日10時~18時まで、VAGの全トラム&バス路線が無料で乗れるキャンペーンまでやるという気の入れ用でした。

 さて

 僕は結構すごいと思うんですが、どうでしょうか。トラム路線網を「拡大」ですよ? AutoBahn こと高速道路網を誇るドイツなのに、町中では車(自家用車)より鉄道・バスを優先する意識が進んでるんですよね。
 トラム/バスの主要駅には、「P+R」といってトラム/バス利用客用の駐車場があります。またAutoBahnから市内に向けて入ってくる道路の市の入り口あたりには、トラムへの乗換えを勧める看板も出てます。
 VAGの看板でおもしろいのがあって、民家の車庫にトラムが入ってる写真と一緒に「高いガソリン代より、かしこい電車」って書いてあります。実際ガソリン代は、1ℓ1,35Euro程度と、円換算すると1ℓ180円を超えてます。今の日本での価格を知りませんが、これは結構高いんじゃないでしょうか。ガソリン代が高いのはフライブルクではないだろうし、輸入段階で日本より高くなるってのも考えにくいので、国をあげてガソリン代を吊り上げてるってことになるんでしょうか。
 つまり、「みんな公共交通機関を使え!」と。

 レギオ・カルテってのを前に書きましたが、フライブルク全域を余裕で越える範囲が、バス・列車1ヶ月乗り放題になる切符があります。値段は41,50Euro、6千円弱。実際これ持ってれば、豊かな大自然に囲まれた郊外からでも、車がなくても通勤・通学できるわけですよね。
 バーンカードってのもあります。25と50があって、50はたしか200Euro(学生は半額!)くらいしますが、ICEも含めてDB全線が一年間半額で乗れるカードです。もともとの電車賃も日本より断然安いので、かなりお得に乗れるわけです。(私も25じゃなくて50にしておけばよかったと、ゲーテの学生のうちに買っておけばよかったと、今更ながらに思います…)

 つまり、公共交通機関に乗り換えさせるだけの準備もできている、ということでしょうか。

 日本もCO2削減に力を入れるなら、こういう部分を大切にしなきゃだめですよね。なんであんなに電車賃が高いんでしょうかね。トラムも走らせたらいいのに。

 …と言えたら簡単なんでしょうが、でも日本の場合、立地的な条件で不利な気もするんです。
 ドイツの国土は2次元的な広がりがあって、なおかつ起伏に乏しい。ゆえに網の目状に交通網を張れる。ところが日本は直線的で、中央は山で分断されている。ゆえに交通網は自由には張り巡らせられない。
 またドイツの場合、その立地条件のせいもあるのか、中規模の町が散らばって国を作っています。それぞれはそれぞれで完結していて、大抵の場合はその中だけで不自由なく生活できる。ところが日本の場合は、都会に集中して、田舎はひどい田舎になってたりする。ひとつの町の中で完結しにくい分、しょっちゅう別の町へ移動する必要が出てきて、トラム網なんかを組んでもイマイチなのかもしれません。(東京近郊はもはや「新幹線で通勤できます」が売りになるんだった…)

 それにしても、交通費の安さは疑問です。(大学の授業料がほぼ無料だったのも謎だが) なぜだ?? 日本が高すぎるのか、ではなぜドイツでは安くても経営できるのか。DBもですけど、レギオ・カルテ関連の統括会社RVFなんて、もっと不思議。チケット収入では絶対に経営が成り立たないと思います。やはり税金からの分配だろうか。消費税すら16%だもんな。

 なんかまとまんなかったな。
 まぁ、いいか。いや、だめか?


Commented by たけしゅー at 2006-05-01 23:41 x
授業料無料は魅力的過ぎる!
金のこと考えずに勉強できるなんて幸せやん。
Commented by ようずぃ at 2006-05-02 20:37 x
安いのはバックボーンがしっかりしてるからでは・・・。

でもドイツの授業料も日本並みになるんだって、数年のうちに。留学生だけかも。

Commented by たけしゅー at 2006-05-03 18:18 x
日本の主要交通手段って一体何なのでしょうね?
自動車はそこらじゅうを走りまわっているし、バスもある。
鉄道にしても国鉄私鉄地下鉄に新幹線となんでもござれですな。
そのうえ高速道路を立体的に組み入れたりとまさにカオスなり。
移動手段の基準をはっきり決めておかないから、整備が難しくなる。
目先の問題にばかり目が向いてしまうのも、そういう背景があるせいなのでしょう。
Commented by 彦 at 2006-05-03 20:44 x
>ようずぃ
まだ数万円になるとしか聞いていないけれど、全部有料になるそうですな。お金かからず居心地いいと、大学に人が残りすぎるのだろうか…

あと留学生は高くなるってのは、十分ありうるね。実際ドイツ人が入れな過ぎて困ってるところもあるとか。音大関係の話を聞いてると、アジア人(特に日本・韓国・中国・台湾)が多すぎるらしいし。

>たけしゅー
勉強に夢中な人には良いが、どうせ金かかんないからと気が抜けてしまう人も出てきそうだよねー。

いっぺん破壊されつくすと、再建の時には計画的に整備するんだけど、
だからといって破壊してしまえ!とは言えないよねー。

ドイツの交通がおもしろいのは、高速道路にゲートがないこと。一般道から区切られることなく高速線に乗りこめるのだ。
新幹線ことICEも、基本は普通列車と同じ線路を走ってるから、日本みたいに大工事をしなくても、どこへでも足を延ばせるのだ。
賢い規格統一は、重要なのかもしれんね。

ちなみに国鉄はもう無いよ。JRは民営です。一応、訂正いたしまする。
Commented by たけしゅー at 2006-05-08 08:43 x
>JRは民営
うん、旧国鉄なり。