その壱

 類は友を呼ぶと言うのか、泣きっ面に蜂と言うのか、
 不調は不調を呼ぶわけです。

 ヨーロッパの台所コンロは、大抵のものが電熱式なんですよね。抵抗に高電圧をかけて熱くするっていう。まぁ台所に電気ですから、想像すればわかるように、何か起きそうじゃないですか。いつか何か起きそうだな~って思いつつも油断して、やってしまいました。
 不調が不注意を呼び、要するに水をこぼしたんです。もちろん水は拭き取りましたよ。だからきっと大丈夫だろうと思いつつ、後でスイッチをいれたら、どうも機械の中にまで入り込んでいたらしく、

 …はい。そういうわけです。電源関係者のみなさまに謹んでお詫び申し上げます。私も裏方・技術屋に携わってきた者として、非常に罪の意識を感じております。
 時刻は19時過ぎ。「パーンッ!」という音とともに、ラジオとも部屋の電灯ともお別れすることになりました。まだ夜は長いのに… この時点でも家主に言えば電源の復旧くらい出来たんでしょうが、もう完全にやる気を削がれてしまいました。真っ暗な部屋で一人、茫然自失。

 雪の降りつもる翌朝。配電盤は私の居住区域外(割と大きな建物なのです)にあるので家主にいじってもらい、無事に電源は復旧。心配だったコンロも故障はしておらず、全て元に戻ってくれました。

 しかし、非常に鬱。

(↓以下に続く…)