装置開発:秋保ナイトミュージアム2025
今年の秋保ナイトミュージアムにむけて制作した装置やインスタレーションを紹介します。(技術的な話についても追々ご紹介しようと思います。)
「足音のやまびこ」(足音ディレイ/新作)

竹の板を踏んだときの音が、やまびこのように遅れて繰り返し聞こえてきます。単に踏むだけでなく、靴底を使って「キュッ」とこすってもおもしろい効果が出ます。
ちなみに板の材料の竹は、やまびこ装置の先にある竹林から採取したものです。
「杜のしずく」

ここ数年にわたり継続しているインスタレーション。サウンドデザイナー・菅原さんとのコラボレーションで制作。エリアの始まりにある水面のような映像と、10台以上あるスピーカーの音楽再生装置を担当しています。
空間に音が広がることで、場の雰囲気というか気配というべきものがガラッと変わります。
ここで鳴っている音は、菅原さんが天守閣自然公園の敷地内で録音した音で作られています。
深い森への入り口(新作)

これまで遠巻きに見るばかりだった杉林の魅力を、今年は近くまでいって体感できるようにしよう、というインスタレーションです。
ライトアップされた杉林を見上げたときの迫力・存在感はとても素敵で、その造形を楽しめるような映像を映し出しています。プロジェクターの位置から見るとごくシンプルな図形なんですが、杉林に近付くと複雑に変化していく様子が見て取れます。視界の右の方にある草木がチラチラチラと輝く瞬間もおもしろい。
投影している映像はもちろん、映像と照明を連動させるシステムについても独自に開発しました。
水みくじ(チャリーンマシン)
おみくじのコイン投入口にお金をいると中から声が聞こえてきます。ちょっとしたお遊び装置を作りました。
ききみみつけよ(いろんなの耳ヘッドフォン/新作)

4種類の耳の形をしたヘッドフォンです。これをかけると、その耳を使って聞こえる音を体験できます。さらに音もより大きく聞こえるので、周囲の音に耳を澄ませてみると、気付かなかったいろいろな音が聞こえてくると思います。
特に丸い筒型の「耳」が特徴的で、細いトンネルの響きのような、独特の共鳴音が混じっています。またウサギ耳は白いケーブルをつまんで回転させることができます。
福島大学の永幡さんと共同で企画し、装置の設計・製作を担当しました。
いなたま用サウンドデバイス(バクテリアによる雄勝石打楽器/新作)
田んぼにいるバクテリアが電気をおこしてライトが点灯する「いなたま」。その微生物の発光シグナルを使って雄勝石をコーンと鳴らす装置です。よく見ていると、光と一緒に鳴っている姿がわかるかもしれません。
バクテリアに明かりを付けさせるのは一昨年もやっていたんですが、今年のテーマにあわせて「音も出そう」ということで考案しました。天守閣自然公園にゆかりのある材料として、園内でも使われている雄勝石と、足音やまびこと同じく敷地内の竹を使って作っています。
なお雄勝石は、石巻の四倉さんに「良い音がするもの」を選んでもらいご提供いただきました。
きのこの光の万華鏡工場

昨年に引き続き、万華鏡をきのこが一生懸命まわして映し出す装置です。ぷりぷりと頑張っているのは通称「おしりちゃん」。一ヶ月間、休日なしの工場勤務です。
装置の中で回転しているのが万華鏡のネタと呼ばれるもの。中央に横たわる灰色の筒には三角形の筒型になった鏡が収められており、その左側からカメラがのぞき込んでいます。つまり「いま目の前で本当に万華鏡を覗いている」様子がプロジェクターに送られて映し出されているので、同じ模様は二度と現れることがありません。
こちらは秋保のガラス・万華鏡作家・佐藤元洋さんとのコラボレーションで製作しました。工場内の(ネタと鏡以外の)装置全般、映像送出システムを製作しました。おしりちゃん・はたふりちゃんを始め、きのこたちは妻による製作です。









