展示制作:蒲生なかの郷愁館(常設展示)

仙台・蒲生にある「杜の都バイオマス発電所」の中に開館した、地域の歴史とエネルギーのことを伝える展示室「蒲生なかの郷愁館」の展示を、少数精鋭な制作チームの一人として制作しました。

蒲生なかの郷愁館

杜の都バイオマス発電所は、2023年秋に操業開始したばかりのバイオマス火力発電所。仙台市の家庭の1/3を賄う量に相当する電力を発電しています。東日本大震災による防災集団移転に伴う跡地に建つこともあり、無くなってしまった町のことを伝える場所として、また元住民の人が立ち寄れる場所として、発電所内にこの展示室を設置しています。

展示室の中では、地域に関することと、エネルギー・電気に関すること、という大きく2つの内容をテーマに扱っています。

まず展示室に入ってすぐの場所には大きな地図があり、周辺にある様々な場所についてのこと、東日本大震災に関わる情報を紹介しています。また窓際には歴史のパネルが置かれ、江戸時代に運河の建設とともに発展した町が、その後どんな変遷を経て今に至るのかを、地域の方々に愛されてきた中野小学校をひとつの軸にしながら紹介しています。

奥には「今でも生き生きとそこにある場所」である蒲生干潟の特集コーナーや、中野小学校の記憶を集めたコーナーがあり、小学校の卒業生が来るとアルバムを懐かしそうに眺めている姿が見られます。

展示室に入って左側の壁には、社会インフラやエネルギーと電気のことをテーマに据えた展示が置かれています。(私の主な担当部分)

「ここにバイオマス火力発電所を新設する」ということには当然賛否両論もあったそうですが、発電・電気のことやクリーンエネルギーのことなど、議論をするにはどうしてもある程度の知識が必要です。ごく基礎的な内容に絞っていますが、「話ができるようになる」ための情報をまとめました。

またこの蒲生地区は、そもそもが運河という社会インフラの整備とともに発展した町であり、仙台港や下水処理場の整備によっても大きな影響を受けてきた土地です。そういった「暮らしを支えるための施設」ってどんなものだろう、というところを含めて、全体像を見渡せるような内容にしました。

制作チームが少数精鋭だったこともあり、それぞれの業務範囲はかなりオーバーラップしています。私が担当した役割としては、主にエネルギー・電気関連と地図まわりのパネル半分くらいの内容制作、合わせていくつかある映像コンテンツの制作のほか、展示室全体的に日本語のリライトをやっています。(←たくさん日本語を書きました)

展示室全体を通して、小学校高学年くらいからなら理解できるよう、内容や言葉遣いについても気を配りました。この室内に収められる内容量もあるので削除してしまった項目もいろいろありますが、程よいバランスになったかなとは思っています。

蒲生なかの郷愁館は、入場料不要で観覧できます。開館時間は10-16時、月曜休館。ガイドによる案内や発電所の見学を希望する場合は、申し込みフォームからの要問い合わせとなっています。

発電所内の駐車場は一般利用不可ですが、ぜひとなりの「なかの伝承の丘」に立ち寄りながらご来場ください。2024年4月からは、仙台市営バスでも交通局大学病院〜仙台駅前〜陸前高砂駅〜なかの伝承の丘へと来られます。(毎時1本程度)

>> 蒲生なかの郷愁館・公式案内ページ

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Posted by Hikologue