実験映像「日本で観測された地震 2010-2020」
2020年〜2021年の11年間に日本で観測された地震を地形図上に表示させた実験映像です。映像はもちろん、音楽も(少しですが)地震のデータを参照しながら制作しています。(全画面表示を推奨)
- 地震データ:気象庁・地震データベース検索より
- 地形標高データ:アメリカNCEIのオープンデータ
地震データのプロットは、発生日時、経緯度、マグニチュードの値を元に、QGISというソフトウェアで行いました。11年分の地震データを、6時間で1フレーム、1日で4フレーム、24FPSで1秒あたり6日として映像化しています。
地形の画像は、メルカトル図法が一番定番ではありますが、地球上で起きていることを表現する上で、実験的に東京を中心とした正距方位図法を採用しています。
またマグニチュードは値が2上がるとエネルギーが1000倍に相当する対数の数のため、表現に悩みました。エネルギーを球としてその半径倍、とも考えましたがそれでも大き過ぎるので、マグニチュード1あたり2倍強になるよう(見え方ベースで)決めています。今回は小数点以下の数も省略。
音楽面では、当初は単にオマケのBGMとして作り始めたものの、何かしらデータに基くものを入れようと、主要な地震があった際にキーンというピアノの高音が響くようにしました。気象庁のまとめている「主な被害地震」と、M6以上の地震が発生した際に、それぞれを表す音が鳴っています。また映像としては1/24秒単位で作られていますが、音(と「主な被害地震」一覧表示)については日付毎(1/6秒単位、♩=90での16分音符単位)としています。
ちなみに繰り返される7音のアルペジオは日・週を表しており、月〜日の曜日に合わせカウントアップするちょっとしたギミックとなっています。
データを音で表現するソニフィケーションという分野があり、今回は十分には踏み込めなかったものの、今後そこを深めていくのも良いなと考えています。
年明け1月3日に2020年の最後のデータを取得し、そこから最終的なビジュアライズ・映像編集等を行ないましたが、制作準備は2020年2月頃から順次進めていました。制作の大半の時間を気象庁からのデータの取得とGoogleスプレッドシートでの計算・集計に費やした映像というのは、さすがに今回が初めてでした。
公開直前の2021年2月13日にも、2011年の東北地方太平洋沖地震の余震が M7.3 最大震度6強 で起きています。地震活動の壮大さと、日本という場所に住む上での災害との向き合い方について、改めて考えさせられます。
余談ですが、震災遺構中浜小学校の展示物のひとつにも、これと同じ技術を使ったものが(より短期間のものですが)盛り込まれています。また気象庁の震度データベース検索が昨年秋に新しくなり、今から作るならだいぶ(それはもう大幅に)データの検索・取得がしやすくなっています。ご興味ある方はぜひ覗いてみてください。